院内紹介
院内全体に、白を基調にアクセントとしてブルーグレーを取り入れています。六甲山系が見渡せる窓からの光が反射するように、床材には光沢のある素材を用いました。
待合にはめいめいにお座りいただけるように、個別の白い椅子を配置しています。
院内全域にWi-Fiを整備しております。
外来診察室は、画像処理装置を患者さんの近くに配置して、内視鏡画像の説明を詳細にご覧いただけるようにしました。腹部エコーを外来診察室に配置し、大腸カメラの検査前診察や肝臓検査に役立てております。
内視鏡専門クリニックとして、清潔なトイレを設置し維持することは不可欠です。当院ではアクセスのよい位置に8個のトイレを設置しました。トイレも院内全体と同様に白を基調とするデザインです。
内視鏡設備は、世界的に圧倒的なシェアをもつ、オリンパス社製EVIS LUCERA ELITEを選択しました。大学病院やがんセンターで選択される内視鏡システムです。患者さんが横たわる検査台は回転できるようにキャスター(コロコロ)が付属しており、患者さんは眠ったまま、診察台が回転することで、胃カメラ後すぐに大腸カメラへと移行することができます。検査後には検査台ごと安静室へと移動できます。検査台は背もたれが上がるように設計されており、リクライニングチェアとして利用することもできます。検査台を移動するために、内視鏡モニターは天井からの吊り下げ式としました。
安静室には可動式の検査台の他、リクライニングチェアを3脚用意しました。検査後には、しばらくこちらでゆっくりしていただき、外来で結果説明を受けていただきます。椅子ごとに電源コンセントを設置しましたので、スマートフォンの充電もできます。
外来診察室の隣は、処置室としております。血液検査や心電図を行うスペースです。
男女別の更衣室は広くスペースを確保することができました。清潔第一を念頭に、上下の1回使い切りの検査着(別料金)を用意します。こちらでお着替えをお願いします。
下剤を飲まない大腸内視鏡では、下剤注入後、平均3時間のトイレ往復の時間があります。この時間を快適にお過ごしいただくために、休憩室に最大5人までの安静スペースを設けました。室内はWiFiが完備され、個別ブースには充電用に電源コンセントを配置しました。個別ブースは、2つの机と2つの椅子で構成されています。作業用の椅子ではPC作業が可能です。リクライニングチェアでは携帯端末や書籍を手にゆっくりとお過ごしいただけます。下剤を引用していただく方にもご利用いただいております。また、院内には合計8個の清潔なトイレが完備されております。
医療機器紹介
オリンパス社製 極細径大腸内視鏡 PCF-PQ260I
大腸内視鏡挿入性能の向上を目的に開発された、伝説的な大腸内視鏡PCF-PQ260Iの最大の特徴は、その径9.2㎜と非常に細いことです。ほとんど胃カメラと同じ太さの大腸内視鏡は、細径ではありますが、受動弯曲機能の搭載により、癒着症例などの挿入困難症例で力を発揮します。受動弯曲技術は、オリンパスが世界に先駆けて開発した画期的な技術でしたが、それを最初に搭載したのが、このPCF-PQ260Iです。
当院は内視鏡専門クリニックであるが故に、ほかの施設で大腸内視鏡をトライしたが、最後まで到達できなかった患者さんが、時折ですが来院されます。これまでは、メーカーからレンタルすることで対応していましたが、急な依頼や、たまたま遭遇した挿入困難な症例に対処するために、常備することといたしました。挿入性には優れるものの、さすがに2世代前の内視鏡であるため、明るさや解像度に若干見劣りがします。
当院では、欠点のない名機PCF-H290ZIをメインに使用していきますが、難しいケースでは重宝する優れた内視鏡です。
オリンパス社製 GIF TYPE UCT260
もはや世界スタンダードとなった超音波内視鏡の名機です。海外での通称は、“White head”です。先端の白い超音波観測装置が特徴です。すい臓がんの精密検査のうち、最も高感度検査とされる超音波内視鏡検査をするために開発され、また超音波内視鏡下吸引生検法(EUS-FNA)を行う機能も兼ね備えております。大学病院やがんセンターではこの内視鏡を用いて、より高次元な超音波内視鏡処置である、急性膵炎後のすいのう胞ドレナージや、胆道ドレナージも行われています。しかし、この内視鏡を十分に使いこなす内視鏡専門医はまだ少なく、総合病院でも超音波内視鏡を積極的に行っているところは少ないのが現状です。私にとっては、勤務医時代、このスコープを病院に導入するために、備品購入の責任者だった副院長のもとへ直談判し購入してもらった、思い出深い内視鏡でもあります。
オリンパス社製 EU-ME2
超音波内視鏡を行う上で欠かせない、オリンパス社製超音波観測装置です。従来は、大きな床に置く超音波検査機が使われていましたが、オリンパス社は内視鏡ユニットに収まるように小型軽量化した超音波観測装置を開発しました。ハイフローモードという血管を認識しやすい機能も兼ね備えており、超音波内視鏡下吸引生検法を行う上で、十分な機能を有しています。
オリンパス社製 EVIS LUCERA ELITE CV-290 及び上下部細径スコープ
当院の内視鏡システムは、世界最大のシェアをもつ、オリンパス社製を採用しています。患者さんの負担軽減を第一に、そのラインナップの中でも、細径で柔らかい内視鏡を採用しています。麻酔使用の内視鏡検査には、一見、内視鏡の太さは関係ないと思われるかもしれませんが、当院では鎮痛剤を併用しないため、麻酔使用であっても検査中の無理な操作に患者さんの身体は無意識に動き反応します。繊細な操作が必要なことはもちろんのこと、内視鏡が細ければ細いほど、胃や腸への負担は軽くなるのは明らかです。
特に当院の胃カメラでは、キシロカインによる咽頭麻酔を行わないことから、喉へのあたりが優しいことが必須条件です。できるだけ細く、柔らかい内視鏡が必要です。細径の胃カメラは、経鼻内視鏡にも対応できます。
大腸内視鏡では、細径だけにとどまらず、すでに多くの臨床研究で高い有用性が実証され、蓄積されている、ハイビジョン機能とNBI機能(狭帯域光観察)と拡大機能を搭載しています。また、硬度可変機能、受動湾曲機能、高伝達機能によりさらに痛みのない大腸内視鏡検査が可能です。
OLYMPUS GIF-XP290N細径胃内視鏡 経鼻内視鏡にも対応
細径拡大大腸内視鏡 OLYMPUS PCF-H290ZI
高伝達機能
大腸内視鏡では、大腸に入るシャフトと呼ばれるロープ状の構造物が3層に分かれています。その素材により、シャフト自体の曲げ・ねじりを伝達し易くなったり、伝達しにくくなったりします。シャフトに加えた力にロスが発生してしまうと、うまく大腸内視鏡を操ることはできません。この3層の構成物同士の干渉を無くしてスムーズに動くようにすることで、大腸内視鏡の先端はスムーズに動きます。オリンパス社が長年蓄積してきた技術の結晶と言える技術であり、世界的に評価される基礎となる技術です。
オリンパス社製細径大腸内視鏡、PCFシリーズは、開発当初はその極度の柔らかさ故、使用機会が限られるややマニアックな存在でしたが、現在では、大腸内視鏡検査のスタンダードスコープとなっています。
近年では大腸内視鏡の使用目的が多様化し、PCFシリーズには、粘膜下層剥離術などの高度な内視鏡治療専用機もラインナップされております。
当院で採用する、歴代PCFの中でも傑出した名機PCF-H290ZIは柔らかいスコープであることから、患者さんの負担軽減に役立つのみならず、副送水機能や拡大観察機能を備えており、ポリープ切除などの内視鏡治療や、癌の深達度診断などの精密検査機能も兼ね備えています。
硬度可変機能
大腸内視鏡で患者さんの負担を軽減するシステムです。内視鏡の手元部のノブを回すと、スコープの硬さを変えることができます。大腸が長い方、また癒着などで硬い方、大腸内視鏡ではさまざまなタイプの大腸を経験しています。オリンパス社が他社に先駆けて開発した硬度可変機能は、スコープの硬さを自在に変えることにより、スコープの挿入性を高め、大腸の深部へとスコープを挿入することに役立ちます。
受動湾曲機能
大腸内視鏡で患者さんの負担を軽減する、オリンパス社が他社に先駆けて開発したシステムです。
曲がりくねった臓器である大腸では、より深部へと挿入する際に、ヘアピン状に急角度に曲がった部位もしばしば遭遇します。大腸内視鏡の湾曲部が腸壁を押す状況になると、鈍い痛みを感じることがあります。当院での大腸内視鏡挿入法は水浸法であり、挿入の難しい部位を痛みなく挿入するのに優れた方法です。このオリンパス社が他社に先駆けて開発した、受動湾曲機能によりさらに痛みのない挿入が可能になります。
大腸内視鏡の先端より手前部分、内視鏡が曲がり始める部位に受動湾曲機能は搭載されています。受動湾曲部が曲がり始めると、内視鏡が自動的にしなります。このしなりが生じることによって、大腸内視鏡をさらに深部へと進ませる力に変わります。
NBI(狭帯域光観察)
NBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)は、2006年にオリンパスが独自に開発した技術です。内視鏡で通常観察するときは、白色光で観察します。白色光は、光の三原色である赤、緑、青(RGB)を合成して出来ています。NBIは、青と緑を合成した光で観察します。がんは成長が早いことから、栄養も余計に必要です。このため、栄養を運搬する血管がたくさん必要です。がんは血管が豊富なだけでなく、血管模様が正常組織より複雑となることから、NBIではがんを識別することが、容易になります。なによりNBIでは、これまで蓄積された豊富なデータから、胃がんでは表面構造と血管構造による診断、大腸がんではJNET分類による組織型や進達度診断、食道がんではIPCLによる深達度診断など、内視鏡診断に不可欠な診断基準が整備されています。世代交代した新システム、EVIS LUCERA ELITEではNBIはさらに進化し、拡大観察だけでなく、遠景でのスクリーニング観察にも有用なセッティングとなりました。
オリンパス社製
高水準内視鏡洗浄機OER-4
当院で使用した内視鏡は、内視鏡の洗浄・消毒についてのガイドラインに準拠した洗浄機器で洗浄します。内視鏡機器における感染管理の原則として、スタンダードプリコーション(標準予防策)が推奨されています。このうち、内視鏡洗浄についてはセミクリティカルと分類され、具体的には粘膜や傷に接する器具ですが、感染の可能性は低いと判断されます。しかし、ガイドラインで推奨される高水準消毒によりほぼすべての微生物を殺滅することができ、長時間継続することにより完全な滅菌が可能となります。当院で採用された、OER-4は、0.3%過酢酸を消毒に使用しており、5分間で高水準消毒が可能です。過酢酸は、酢酸と酸素に分解され、そして酢酸は環境微生物により炭酸ガスと水に分解されます。環境にやさしい消毒液です。
洗浄・消毒のすべての行程は最低17分を要します。従来機に比べて倍以上の時間を要しますが、内視鏡を受ける患者さんの十分な感染防御のために必要な時間と考えています。
内視鏡用炭酸ガス送気装置
UCR
安楽な内視鏡検査に不可欠な医療機器です。当院では、胃内視鏡を含めた、全内視鏡検査で炭酸ガス送気を行います。元々は、外科手術の発展形である、腹腔鏡手術において、手術の安全性を高めるものとして開発されました。内視鏡診療へも導入されると、長時間に及ぶ早期がんの治療内視鏡や、大腸内視鏡などで有用性が多く報告されています。炭酸ガスは胃腸から速やかに吸収されるため、内視鏡検査後の腹部膨満感などの不快な影響を回避できます。
超音波診断装置
Canon製 Aplio me
通常の消化器診察では、病状の聴取の後、聴診や触診などの五感を生かした、伝統的な診察方法で病気の存在を想定します。しかし、これだけでは腹部診察での情報量は不足していると、常々思っています。
外来診察室に、簡便に使用できる超音波診断装置を設置し、疑念があればすぐにエコーで診断してみる。超音波検査は腸管ガスや内臓脂肪の影響を受けることから、絶対的な信頼とまではいきませんが、当院開院以来、先代機種のGE Healthcare LOGIQ V3のおかげで、多くの消化器症状の患者さんを迅速に診断することが出来ました。
開院から5年を数え、新しい機種への変更を模索し、5台以上のデモ機を実際に使用し、使用感を評価し、Canon製 Aplio meを採用することとしました。
キャノン製の超音波診断装置は、超音波診断検査を専門に行う、大病院の超音波診断室で多く採用されていることで知られております。私がこれまで熟読してきた、超音波診断テキストで掲載されている画像の多くは、このキャノン製機種で撮影されています。
使用した感想としては、基本画像であるBモードが他社のものと比べて、より細密でわかりやすいことです。使用感もダイレクトに画像を描出する感覚に優れ、当代はやりの画像協調運動技術がもたらすもたついた感覚が皆無であることが大きな特徴です。
加えて本機種では、超音波減衰法検査(ATI)を用いた脂肪肝の定量的評価、肝硬度測定(SWE)を用いたアルコール性肝障害などの肝疾患の定量的評価が可能です。またキャノン独自の技術である、Superb Micro-vascular Imaging (SMI)は、虫垂炎や潰瘍性大腸炎、胃癌や大腸癌の検出力を高める効果が報告されています。
2024年5月より本機種を本格的に導入しましたが、特に胃や大腸などの消化管の状態を把握するのに大変有用であると確信しました。内視鏡検査を行う前の予備的な診断にもとても有用です。当院は内視鏡専門クリニックではありますが、今後も本機種を用いて腹部診断技術を向上させたいと思います。