内視鏡を使った「すい臓がん検査」(超音波内視鏡)

内視鏡内科 消化器内科(胃腸内科)内科

も15:00まで診療 TEL 0798-56-8480

西宮市南越木岩町6-7ラポール苦楽園2階

  • TOP
  • 内視鏡を使った「すい臓がん検査」(超音波内視鏡)

内視鏡を使った「すい臓がん検査」(超音波内視鏡)

すい臓がんとは?

すい臓は、胃の裏側、背中側にある臓器です。そのすい臓に発生する「すい臓がん」は、とても悪性度の高い「がん」です。すい臓がんは、発症してから5年後に生存している確率(5年生存率)がわずかに7.7%程度です(国立がん研究センターのデータ)。すなわち、5年のうちに、90%以上の方が亡くなってしまいます。同じく生存率が低いと言われる第2位の「肺がん」でも27.0%ですから、すべてのがんのうちで、すい臓がんの5年生存率が群を抜いて悪いことがわかります。

この理由として、「すい臓がんは症状が出にくく、早期発見が難しい」ためと指摘されています。私の経験上、典型的な症状である背部痛や黄疸、体重減少などが出てきたときには、切除不能(StageⅣ)まで進行していることが多いと実感しています。

一方で、すい臓がんでも「早期発見」の重要性が指摘されています。
サイズが1㎝以下のすい臓がんでは、80%以上の5年生存率が報告されています。しかし1㎝以下のすい臓がんはCTでは検出することが難しく、最も感度の高い検査である超音波内視鏡が役立つことがあります。

すい臓がんの検査にはどのようなものがあるか?

すい臓がんの検査には、大きく分けて画像診断(エコー、CTなど)と血液検査(膵酵素、腫瘍マーカー)があります。
具体的には、

 
血液検査(アミラーゼ、リパーゼ、CA19-9など)
簡便な検査であり、どの医療機関でも実施可能です。しかし、早期発見の効果は低いとされます。 
 
腹部超音波
簡便な検査であり、比較的多くの医療機関で実施されています。しかし、施行者により技術的な差があること、内臓脂肪や腸管ガスの影響を受けやすく、精密検査とはなり得ません。

通常の診療では、上記の検査によって精密検査の必要性があるものは、以下のような、より高次元の画像診断を受けることになります。

 
造影CT検査
すい臓がん精密検査のスタンダード検査です。すい臓がん本体の診断の他、リンパ節転移や肝臓などの他臓器転移を検出することにも有用です。しかし、放射線被ばくが避けられないことへの注意が必要です。また専門診療科のある総合病院など大きな病院への受診が必要です。
 
MRI検査
近年有用性が高まっている検査です。拡散強調画像という特殊画像技術や、膵管胆管造影が可能なMRCP検査を行うことで、放射線被ばくをうけることなく、すい臓がんの診断を受けることができます。MRI装置は、機器を設置する検査室整備も含め大掛かりとなるため、専門診療科が整備された総合病院への受診が必要です。閉所恐怖症や心臓ペースメーカーの方には注意が必要です
 
超音波内視鏡
胃カメラの先端に設置した超音波装置を使って、すい臓を観察する検査方法です。
すい臓がんの診断率は94%と報告されており、最も検出率の高い検査方法とされています。
超音波内視鏡では、2㎝以下の小さなすい臓がんでの検出率も高いと報告されています。
太い内視鏡を使用することから、麻酔使用が不可欠であること、また技術を持った医師が少なく、提供できる施設が少ないことがデメリットと言えます。
脂肪の多い方はこの検査方法に不向きです。メタボリックシンドローム(ウェストが男性85cm・女性90cm以上)、脂肪肝などの内臓脂肪が多い方には向きません。CTやMRIの方がよい検査です。
 
PET/CT
造影CTと同等の診断能を持つと報告されています。しかし、すい臓がんの確定診断がない場合には保険適応とならないこと、放射線被ばくや高額であることから、早期発見の用途には適さないと報告されています。しかし、進行したすい臓がんの転移を検出するためには有用と報告されています。

すい臓がん精密検査を受けた方が良いのはどんな時か?

〇腫瘍マーカー(CEAやCA19-9など)が高い
〇膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ)が高い
〇血縁者にすい臓がんのひとがいる
〇腹痛や背部痛があり、体重が減っている
〇腹部エコーで、すい臓に「のう胞」があると言われた
〇腹部エコーで、すい臓の「膵管拡張」があると言われた
〇持病に糖尿病がある
〇持病に慢性膵炎がある(みぞおちの痛みと背部痛が特徴です)
〇腹部エコーで「胆管拡張」を指摘された
などです。

上記のような、すい臓がんが疑われる検査所見や症状はないが、すい臓がんが心配なので超音波内視鏡を受診したい、という方には、人間ドック(自費診療)での受診をお勧めします。

まえだクリニックが提供する超音波内視鏡とは?

当院では、すい臓がん検査として、超音波内視鏡検査を提供しています。当院は、個人クリニックとして、関西で初めて超音波内視鏡を導入した内視鏡専門施設です。

2020年5月1日機器導入~2024年3月31日まで、1,180名(男性587名、女性593名)に超音波内視鏡を提供しました。

この期間中、検査後にのどの痛みを訴えられた患者さんが67名いました(5.6%)。また、検査後に軽度に発熱した方が1名いました。胃痛を訴えた方が1名いました。残念ながら、超音波内視鏡がのどを通過せず、検査中止となった患者さんが3名いました。また挿入可能でしたが、検査中に呼吸機能の悪化により、途中で中止となった方が7名いました。内視鏡抜去により、速やかに呼吸機能が改善したことから、太い内視鏡による気道圧迫が原因と考えられました。いずれの患者さんも小柄で、下顎の小さい女性でした。

膵臓がんを早期発見する上で、近年必要不可欠な検査になりつつありますが、手技の習得には専門施設での一定期間の習熟訓練を必要とすることから、検査医が不足しています。このため、まだ十分に普及していない検査です。この西宮市内でも超音波内視鏡を十分に操作できる医師は限られています。

当院の超音波内視鏡では、国内外20施設以上での 内視鏡研修歴 を持ち、2000例以上の超音波内視鏡検査経験を有する内視鏡専門医である院長自身が担当します。
当然ながら、当院が保有する超音波内視鏡機器は、全世界で第1位のシェアを誇り、全世界の専門医療機関で採用されるオリンパス社製機器(EU-ME2, GIF TYPE UCT260)です。

経験豊かな専門医による、すい臓がん検査において最も高感度な検査を、土日を含むご希望の日時で提供する、当院の超音波内視鏡を受診し、すい臓がんへの不安を払しょくされてはいかがでしょうか?

当院で使用するオリンパス社製GIF TYPE UCT260



腹部超音波検査(腹部エコー)と超音波内視鏡はどう違うのか?

良く行われる腹部超音波検査(腹部エコー)と超音波内視鏡とはどう違うのでしょうか?超音波を使うことは同じなのですが・・・
腹部エコーは体の表面から行います。一方、超音波内視鏡は体の内部(胃の中)から行います。超音波内視鏡がすい臓がんの発見に優れているかはこの点にあります。機械から発せられる超音波は、対象物(すい臓がん)から離れるほど、対象物をとらえにくくなります。また空気や脂肪により超音波は遮断されやすくなります。腹部エコーで体の表面からすい臓を見ると、まず皮下脂肪、肝臓、内臓脂肪、胃の壁、胃の空気、と多くの介在物があり、超音波はそれだけ遮断され、届きにくくなります。一方、超音波内視鏡ではすい臓との間に介在するものは、胃の壁一枚のみです。超音波は減衰することなくすい臓に届きます。このため、すい臓を見やすくなるわけです。

CTもMRIも体の外から放射線や磁気を発生させてすい臓をとらえる検査です。遠いところからすい臓を見るため、近くですい臓を検査する超音波内視鏡より感度が劣るのは仕方がないと言えるかもしれません。

超音波内視鏡の画像
超音波内視鏡の画像


超音波内視鏡をお勧めできないケースはどんなものか?

胃切除後の方はご遠慮ください。すい臓を観察できる範囲が狭くなります。
脂肪肝などの内臓脂肪の多い方
脂肪肝などの内臓脂肪の多い方、メタボリックシンドロームの方はご遠慮ください。脂肪により超音波が跳ね返されてしまいます。

〇 一般的に大学病院を含む総合病院(大きな病院)で膵臓検査を行うときには、腫瘍マーカーを含む詳細な血液検査、腹部エコー、CTまたはMRI、胃カメラ検査を行った上で、最終的に超音波内視鏡検査が行われます。つまり超音波内視鏡検査以外の、さまざまな検査データが蓄積された上で、超音波内視鏡検査が行われ、総合的に、膵臓が診断されることになります。 しかし、当院では超音波内視鏡検査のみで膵臓を診断します。精確な診断のためには、はっきりと観察できる条件が必要となります。観察の障害となる、内臓脂肪の方には検査受診をお断りしています。


超音波内視鏡の進め方

当院の超音波内視鏡は、胃カメラと同様のアクセスビリティ、「胃カメラ感覚」で提供します。このため予約や受診方法は、胃カメラとほぼ同様です。

1
インターネット、電話での予約が可能です。中止が必要な薬剤(糖尿病薬、血液をサラサラにする内服)を服用されている方は、必ずお伝えください。
2
当日は絶食でお越しください。前日の夕食は午後8時までに済ませてください。当日は検査1時間前まで飲水が可能です。
3
膵臓の病気の症状は、胃の症状と紛らわしいことが多いものです。超音波内視鏡を受ける前に、胃も調べておくことが望ましいです。超音波内視鏡では胃の中を十分に観察することはできません。膵臓の症状と紛らわしい、胃潰瘍や胃癌があると、胃の壁を傷つける可能性があります。胃カメラを事前に受けておくことを勧めます。

胃カメラ受けましょう

3
来院後、医師の問診と診察を行います。アレルギー歴や治療中の疾患についてお聞きしたり、これまでの血液検査異常などを確認したりします。過去に受けた血液検査や内視鏡検査、CTやMRIなどの検査の結果をお持ちならば、持参してください。症状から胃や食道を第一に疑う場合は、胃カメラに変更させていただくことがあります。
4
診察時に腹部エコーを行います。すい臓や胆のう、肝臓などのおおまかな情報を得るためです。
5
お荷物を院内のロッカーにお預けいただきます。超音波内視鏡は必ず麻酔を使用します。ご自分で荷物を監視できなくなりますので、十分に目が覚めるまで、お荷物はロッカー内にお預けいただきます。
6
内視鏡室にお入りいただき、前処置を始めます。血圧と血中酸素濃度測定を生体モニター装置で測定します。その後、麻酔を投与する静脈ルートを作成します。実際には、点滴の針を入れて細い管をつなぎます。
7
のどの痛みを予防するために、キシロカインスプレーを使用して咽頭の表面麻酔を行います。歯科処置などで経験された、キシロカインアレルギーをお持ちの方は、事前に申し出てください。
8
内視鏡が通るルートを確保するために、バイトブロックというマウスピースを口にくわえていただきます。開口障害や顎関節症など、バイトブロックを装着することができない方は超音波内視鏡検査を行うことはできません。このバイトブロックは従来の胃カメラで使用されている、洗浄して何回も使用するものではなく、一回使い切りの、使い捨てのものを使用しています。バイトブロックは麻酔使用により、口から外れることがありますので、しっかりとシリコン製ベルトによって固定します。
9
静脈麻酔を投与します。ゆっくり投与しますが、投与した瞬間から憶えていない方がほとんどです。超音波内視鏡が終了した後も麻酔はまだ体内に残っておりますので、検査台ごと安静室へと移動します。これは安全のための方策であり、ご自身で歩いて移動していただくことはありません。検査台はリクライニングチェアの機能も兼ね備えております。目が覚めた時には、いつの間にか安楽椅子に座っている感覚です。
10
十分に目が覚めましたら、荷物をロッカーから出していただき、診察室にて超音波内視鏡の結果説明を行います。検査当日の所要時間は約1時間半ほどです。

もし超音波内視鏡で病気が発見されたら・・・

原則的には、外科や消化器内科など十分な専門診療科を備えた総合病院(大学病院、がんセンター、県立病院など)への紹介を行います。

超音波内視鏡を利用した組織細胞検査(超音波内視鏡下吸引生検法)や、CT、MRIを含めた総合的な膵癌診断を行う目的です。

超音波内視鏡下吸引生検法とは?

超音波内視鏡から穿刺針を出して、胃や腸を介して、すい臓がんを穿刺し細胞や組織を採取する検査方法です。麻酔を使用し、検査を行いますので、検査中に痛みを訴える方は稀です。採取した細胞や組織は検査会社の病理医が診断し、1週間程度で結果を説明します。すい臓がんでは、細胞組織診断を行うことにより、確定診断が得られます。

検査にまつわる副作用(合併症)は1%以下と報告されており、主なものは出血です。現代の超音波内視鏡には血流(血管を通る血液の動き)を認識する機能が付属しており、出血リスクを判断することが可能です。

超音波内視鏡下吸引生検法を必要とする患者さんは、院長が信頼する医療機関に紹介しております。

超音波内視鏡の費用は?

保険診療3割負担で計算しますと、超音波内視鏡の検査費用は、およそ7000円程です。初診料、再診料、土日加算を含みません。

予約の前にご注意ください

 
心臓病、腎臓病、肝臓病をお持ちの方は、当院での内視鏡検査をお断りすることがあります。
 
お薬を複数お飲みの方は、内視鏡予約のための事前受診をお願いすることがあります。

妊娠中の内視鏡検査には対応していません

 
授乳中のご婦人は、内視鏡受診後24時間は授乳ができません。当院は、妊娠中の内視鏡検査には対応していません。

当院はバリアフリー構造や手すりの設置が十分ではありません

 
当院はバリアフリー構造や手すりの設置が十分ではありません。杖歩行や車椅子移動の方の内視鏡検査はお断りすることがあります。
 
90歳以上の患者さんでは全身機能の低下が予想されます。当院での超音波内視鏡はお受けできません。救急体制の整った総合病院にて入院の上、超音波内視鏡検査をお勧めします。
 
急激な、強い腹痛があるときは、超音波内視鏡は不適です。
 
やや太めの内視鏡を使用することから、開口障害、顎関節症の方には検査を行うことはできません。

胃カメラと超音波内視鏡の同時検査はできません

 
胃カメラと超音波内視鏡の同時検査はできません。
超音波内視鏡は、胃カメラのように、食道胃十二指腸を検査することはできません。

痛みを訴えられた方

 
胃内視鏡では、3名で検査中止の方がいらっしゃいました。3名すべて、麻酔使用による咽頭狭小化、気道閉塞症状によるものでした。睡眠時無呼吸症候群に類似した状態と思われます。超音波内視鏡では、より太い内視鏡をのどから挿入します。睡眠時無呼吸症候群をお持ちの方には不適と思われます。
安全のためにも、超音波内視鏡の前に、胃カメラをあらかじめ受診することをお勧めします。

超音波内視鏡受診の前にご注意ください

 
超音波内視鏡は、原則的に受診当日に行います。インターネットまたは電話で予約をお願いします。

血液検査結果

 
直近1年以内の血液検査結果(健診も含む)、胃カメラ、CTやMRIなどの画像所見があれば持参ください。
CD-ROMなどの画像データの持ち込み、読影依頼はお断りします。
 
当日は、絶食でお越しください。飲水は1時間前までに済ませてください。
 
問診と診察によっては、当日は腹部エコーと血液検査をお勧めし、後日、超音波内視鏡検査を予約することがあります。
 
当日の問診と診察によっては、当日は胃カメラをお勧めすることがあります。

緑内障の方は、麻酔や鎮静剤を使用することで眼圧が上昇し、失明する場合も あります。緑内障または緑内障の疑い・高眼圧などで眼科受診中の方は検診前に 必ず眼科主治医に鎮静剤使用が可能かをご相談ください。 眼科での事前の確認をされていない場合、 鎮静剤が使用できない場合がありますので、ご了承ください。


超音波内視鏡についてのQ&Aはこちら

当院の内視鏡洗浄