大腸がんの症状とは?
「大腸癌は怖い」
「でも検査はなんか面倒臭そう」
「どんなサインがあれば、病院にすぐに行くべきだろうか?」
「医師や看護師からみて、「これは危ない!」とピンとくる症状ってあるのだろうか?」
【目次】
この解説の結論
- 大腸がんの症状は、実はけっこうあやふやで、頼りにならないところがあります。
- 何かの症状、体のサインが危機的な状態に陥る前に、早めに検査したほうが良いと思います。
大腸癌の代表的な症状
〇便秘
普段は快便なのに最近便秘がちって何か不安です。でも、もともと便秘の人もいますね。
〇血便
便に血が混じっている状態です。血管の多い大腸癌が便で擦れて、血が混ざります。でも、だいたいは痔です。特に便の最後についている血は、痔が予想されます。
〇下血
下着に肛門から出た血が付くくらいの出血がある時です。大腸癌では血便よりさらに悪い症状と言えます。でも肛門が切れても血は出ます。
〇便潜血陽性
健診で便検査をしますよね。この便検査は、正式名称では便潜血反応検査と言います。これが陽性であると、大腸癌のサインとなります。でも、陽性であっても、がん発見率は0.10~0.15%です。
便潜血が本当にがんを検出する確率は、高くないのです。
しかしながら、私が研修医の時に、便潜血陽性の患者さんにこの話をして、様子を見ることにしたら、本当に大腸癌だったことがあります。つらい思い出です。
〇下腹部のはり
大腸癌の閉塞症状(つまりかけ)ではよくあります。しかし便秘でもよくあります。
〇便が細くなる
大腸癌が進行すると、このような症状がでます。でも、誰でも避けられない老化現象で、便をまとめる機能が低下した大腸でもこんな症状は良く起こります。大きな痔があると、便が通る時に抵抗になるので、便は細くなります。
〇便秘と下痢を繰り返す
便秘=つまる、下痢=流れる、とは大腸癌が進行して、詰まりかけとも言えます。これも普通の便秘でも起こる症状です。
〇便が残る感じ
進行した大腸癌は便の流れを邪魔します。ただ、年齢が高くなるにつれて、便を押し出す腸の力が低下するので、特に肛門裏側に残っている感覚を覚える方が多く出てきます。
〇貧血
大腸癌は血管が豊富です。その表面にもたくさんの血管を持っているので、便が通ったりすると、その機械的刺激で出血します。これが持続すると、体の中の血液が不足してきます。これが貧血として現れます。
貧血は、瞼の裏をまくり上げた時に、白くなっていたりするとよくわかります。でも、もともと貧血の人もいます。特に女性は。
〇年齢が40歳以上
40歳を超えると大腸癌の頻度は上がってきます。国立がん研究センターが行った統計調査では40歳を境に、大腸癌の発生率は急上昇していることが示されています。
でも、年を取るといろんな症状、不具合が出るのは、癌に限った話ではありません。
このように、「大腸がん、間違いなし!」の症状はありませんが、これらの症状の方は、大腸検査を受けておいた方が良いと思います。あくまでお勧めです。
これらを軽視していると、研修医の時の私のように、大腸癌を発見するチャンスを失うことになります。
これらの症状が、「昔からある」場合は、便秘やその他の命にかかわらない病気の可能性が高いです。そのため、大腸検査になかなか足が向かないのでしょう。
ただ、進行した大腸がんの患者さんでは、上にあげた症状のうち、いずれかを持っていることが多いのも事実です。
すぐに病院に行くべき症状はどれ?
ズバリ! 上記の症状が2つ以上同時に起こる時です。
例えば、
「便秘があって、血便」
「血便があって、下腹部が張る」
「下腹部が張って、便が細くなる」
「便が細くなって、便秘と下痢を繰り返す」、
などです。どの組み合わせもあり得ます。
3つ同時に発生することもあります。
「便秘があって、下腹部が張り、最近便が細くなった。」
医師としては、本当に大腸癌がありそうだな、と思わせる患者さんの訴えとなります。
でもこれもまた、「たまたま」ということもあるのでは?という見方もあると思います。
ただ、症状が重なると、患者さん自身にも、「なにかありそうだな」という危機感があることが多いです。
もやもやしているくらいなら、早く病院に行った方が良いですね。
この解説のまとめ
このように、大腸癌の症状は、便秘や痔の症状、はたまたそれが偶然に組み合わさったものと、まことに紛らわしいところがあります。
なかなか、「これ、間違いなし!」というのは難しいのです。
不安に思ったら、躊躇せずに検査を受診することが良いと思います。