潰瘍性大腸炎の症例写真と解説

内視鏡内科 消化器内科(胃腸内科)内科

も15:00まで診療 TEL 0798-56-8480

西宮市南越木岩町6-7ラポール苦楽園2階

潰瘍性大腸炎の症例写真と解説

内視鏡の症例 潰瘍性大腸炎

「痔かもしれない。」
「お腹がしっくりしない。」
「2ヶ月前も同じ症状だったけど、少ししたらおさまった。」
「仕事でストレスが溜まり、疲れを感じる。」

当院で経験した潰瘍性大腸炎の患者さんは、多くの場合で、はっきりした症状がありません。

「たぶん、痔だと思う。昔からだけど。」
「この仕事が終わったら、良くなると思う。」
「ストレスがあるから、過敏性?」

あまり大きな症状ではないので、これまでの経験から、
「たぶん大丈夫だと思う」、
と考えがちです。これまで大丈夫だったから、この先もきっと大丈夫だ、と思いがちです。ご家族が心配するので、本人はそれほど気にしていないけど、とりあえず受診してみた、という方が多い印象があります。
しかし、ご本人の意思とは裏腹に、潰瘍性大腸炎は進行していることがあります。

潰瘍性大腸炎は、よくなったり悪くなったりを繰り返す病気です。下痢や下血、下腹部痛などの症状が代表的です。粘液状の便が出ることもあります。
発熱や貧血症状がある方は、重症の可能性があります。
また当クリニックの経験では、健診の便潜血で見つかることも多い病気です。健診で見つかるくらいで、何の症状もない方がいます。

潰瘍性大腸炎は、安倍首相の持病でも有名な病気です。
第一次安部内閣は、安倍首相の持病である、潰瘍性大腸炎がもたらした体調不良のために退陣しました。
退陣後の安倍首相は、主治医が処方した潰瘍性大腸炎の治療薬を服用しましました。これが効果的だったようです。病状が改善したことで、体力気力が充実し、首相に返り咲き、今日に至っています。

安倍首相のエピソードが語るように、ストレスを感ずる方がかかりやすい病気で、病状が進行すると、日常生活や社会生活を脅かす恐れがあるという認識が重要です。
同様に、近年進歩の著しい治療薬により、症状を劇的に改善することも可能な病気です。
難病の一つであり、完治の難しい病気であることも重要ですが、幸運なことに、大腸がんと違って命を脅かす病気ではありません。稀に手術が必要になることはありますが、ほとんどの患者さんの余命は、健常者と同じです。

開院以来、たくさんの潰瘍性大腸炎の患者さんに出会いましたが、皆さん仕事一筋の真面目な方ばかりでした。医師との出会いも重要のようです。中には、専門的知識のない医師の下で、なかなか確定的な診断がつかず、下痢下血の症状あるのに一年以上も治療が開始されず、苦しんでいた方もいます。
潰瘍性大腸炎は、経験ある専門医の診断と治療が必要な病気です。

当院では、大腸内視鏡での内視鏡診断と組織生検法で、潰瘍性大腸炎を確定診断します。その後、5-ASA製剤の内服やステロイド注腸薬と言った初期治療を行います。
症状の強さと内視鏡所見から、組織検査結果を待たずに、上記の初期治療を開始することもあります。

潰瘍性大腸炎は公費補助のある難病に指定されています。難病指定医資格を有していることから、当院で難病申請の手続きも行うことができます。
軽症の方では、定期的な診療を継続します。もちろん土日診療も可能です。
もし入院加療や、より高度な治療が必要と判断された場合は、専門施設への紹介を進んで行っています。

潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎では、白い白苔と呼ばれる付着物が大腸に付着しています。薄い潰瘍、びらんが多発している画像です。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎では、水で洗っても落ちない白い付着物が細かく付着し、粘膜は黒く変色しているところがあります。本来見えるはずの、大腸粘膜に分布する血管が見えなくなっています。
潰瘍性大腸炎
正常な大腸粘膜の画像です。ピンク色の大腸粘膜には、血管が透けて見えます。